米ゲームサイト「IGN」
Boktaiレビュー


IGN 8.5点
ユーザーレビュー 9.2点(9/18現在)

このページは米国ゲームサイトIGNの
レビュー記事を和訳したものです。



Innovation(革新・新機軸)。 GBA用ゲームをレビューする際にはあまり使われない言葉である。携帯ゲーム市場では制作者達が新しくてエキゾチック(ユニーク)なアイデアを試そうとすることがあまりない。 理由は単純だ。 金である。 GBA用タイトルにあまり金をかけることは得策ではないとメーカーは考える。 ボクタイはGBAにおいてのInnovationそのものである。 他のゲームでボクタイほどオリジナルで突拍子もないアイデア(ボクタイの場合は太陽センサー)をゲームに盛り込み、そのゲームシステムの根幹をそのアイデアに委ねているものはない。 結果、とても興味深くて成功とも言えるゲームプレイ要素が生まれた。 引っかかるのは時間に拘束されたゲームシステムと繰り返し登場する似たようなステージ構造である。

特徴:
・七つ以上の異なる舞台
・あらゆる強さの太陽光を感知するセンサー
・セーブファイルが2つ作成可能
・多人数対戦プレイ・アイテム交換機能

少年ジャンゴは父親の跡を継ぎ、ヴァンパイアハンターとなる。 太陽の力を使ってイモータル達に占領された土地を解放するのが彼の使命である。 プレイヤーはジャンゴとなり、危険いっぱいのダンジョンを探索し、アンデッド達を倒しながらイモータルの潜む部屋を目指す。 そこでイモータルを倒して棺桶に封じ、その棺桶を太陽のもとまで引きずり出してパイルドライバーと呼ばれる浄化装置でイモータルにとどめを刺すのだ。


ボクタイの最大の特徴はプラスチックに覆われた太陽センサーである。 このセンサーが感知する太陽光の量は画面の隅のゲージの増え方に反映される。 太陽光がより強ければ、ゲーム中でも太陽エネルギーもより強い。 このアイデアこそがゲームプレイにあらゆる影響を及ぼすのである。 太陽の「主目的」は主人公の武器へのエネルギー補充だ。 プレイヤーの銃は太陽エネルギー弾を放ち、その度に太陽エネルギーを消費していく。 消費した太陽エネルギーを回復させるには太陽光を浴びるかゲーム中に転がるバッテリー等を拾うという方法がある。 太陽光を浴びるといってもゲーム中どこでも可能というわけではない。 主人公ジャンゴは屋外に出るか、光の差し込む「天窓」のもとに立たなければならない。 太陽光のもとに立っていれば徐々にエネルギーは溜まるが、Aボタンを押せば急速にチャージをすることが出来る。 しかし困ったことに、この時ジャンゴは動くことが出来ず、血に飢えた敵の攻撃に対処出来なくなる。

ボクタイにとって太陽光の量は非常に重要になってくる。 センサーもとても敏感である。 朝の8:30くらいにプレイすれば太陽ゲージは3から4メモリくらいまで溜まるが、午後1時か2時であればゲージは7か8メモリくらいまで上がる。 メモリの数が多いほど、ボクタイの中での太陽が強いわけで、太陽エネルギーもより早く溜まるし、ゲーム中の窓やひび割れから差す太陽光のもとに敵をおびき寄せて簡単に敵を倒したり出来る。 ボス戦では床に落ちる日差しが有効なことが多い。

しかし、その太陽がプレイヤーにとって不利に働くことだってある。 太陽が出ていると「隠れる」敵が登場するのだが、彼らはセンサーを覆って太陽光を遮らない限り、姿を現さない。 さらに重要なのがボクタイの「安全機能」である。 あまりに多量の太陽光がセンサーに当たると、主人公の武器がオーバーヒートし、しばらくの間全く使えなくなってしまう。 復旧させるには日陰に移動し、しばらく「冷ます」必要がある。 ゲームを遊びには太陽光が必要なわけで、この機能は「もう今は充分遊んだでしょ!」と丁寧に教えてくれているようなものだ。 太陽センサー以外にこのゲームは時計を内蔵しており、どれくらいの時間プレイヤーが日陰にいたりゲームを消したかを把握している。 プレイヤーがあまり日光を浴びすぎないための配慮だろう。


ボクタイのゲームデザインと太陽センサーを用いたゲームプレイを考えたのはメタルギアシリーズの生みの親Hideo Kojimaである。 ゲームデザインに多かれ少なかれ彼の意見が反映されているのは、ステージを進んでいく上の戦略がメタルギアワールドで用いるものと似ていることで明白だ。 徘徊するアンデッド達の多くは、彼らの視界に入ったり、音を立てて聞かれなければ主人公に気付かない。 間違って敵に見つかると大ダメージを食らうこともしばしば。 なので、気付かれないようにゆっくりと進むのがベストである。 壁に張り付いてノックしておびき寄せる戦法もそのまま使えたりする。 よく練られたステージの数々でこの作戦は非常に重宝する。 たとえば、重みに反応する特殊な床パネルまでノックで敵をおびき寄せ、敵がそのパネルを踏むとそれまで閉じていた門が開き、プレイヤーがそこを通ることが出来る。

ボクタイの狙いはオリジナリティー溢れるのだが、冒険を進める中で遭遇するパズルをクリアするための度重なる「箱押し」や「スイッチ切り換え」によって、ステージ構成自体はとても典型的なものである。 箱を押して感圧式の床に乗せたり、スイッチを特定の順番に入力するといった類のものである。 ボクタイのマップこそが非常にユニークなゲームデザインを有するこの作品に「作業の連続」という印象をもたらしている。


ゲームの構成はとてもしっかりとしており、キャラクターの素晴らしいアニメーションや優れたエフェクトにより、全体的に活気に溢れている。 主人公がジャンプしたり、段差を上ったりすることはないので、その分、操作もシンプルである。 しかし、これら制限はいい方向に働いている。 操作系が物足りないと感じることは全くない。 先程、「箱押し」等でステージ構成に関して文句を言ったが、実際にはかなり感心させられる部分がある。 ゲームのステージ構成はイモータルを倒しに行くための「往路」だけではなく、倒した後に棺桶を引きずってくる「復路」も楽しめるようにデザインされている。

一つ忠告しておかなければならないのは、いつどこでボクタイをプレイ出来るかに関しては制限があるということ。 誤解して欲しくないのは、当然その部分こそがゲームクリエイターの狙いであることを私は充分に理解している。 その部分こそがこの作品のオリジナリティーの肝(きも)である。 しかし、GBAという「どこでも遊べる」という自由度を持つ機械が「太陽が出ている」時間帯や天候に縛られるという部分に若干の違和感を抱いてしまう。 確かにバッテリーや太陽バンクのおかげで「太陽光条件」があまりよろしくない時のための様々なアイデアは存在する。 しかし、天窓ほどすぐにたどり着けるほど便利ではなく、やはりリアルタイムで太陽光が当たっていないとプレイが非常に難しい(もしくは不可能)な場面もある。 まあ、一回のプレイで一気にゲームをクリアしてしまうということは防げるが・・・


総括:
お約束のアイデアしか見受けられないことが多いGBAでこれだけオリジナルでユニークな作品にチャレンジしたコナミに敬意を表します。 太陽光をゲームプレイに絡めるという狙いは他に類を見ないものであり、ゲームデザイン的には凄まじいポテンシャルが潜むと思う。 この作品はコナミのクリエイター達がもともと考えていたアイデアの表面だけを具現化したものかもしれない(本当はもっと違うものにしたかったのかも知れない)。 繰り返しの多いステージ構成もあり、キャッスルバニアやメタルギアソリッドほどの名作ではないかも知れないが、それでもとてもしっかりした冒険をGBA用に提供してくれている。 この携帯機に想像も出来ないようなものをもたらしてくれたコナミは賞賛に値する。


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